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お灸のすすめ
お灸ついて
お灸の話
お灸は、皮膚に艾(もぐさ)を焼いて焦げあとの残るものですが、外からは見えない体内の汚れた澱み(よどみ)を取り除き、内臓の腫れや傷を消し去ってくれるものです。そして、からだを丈夫にし、心に希望を与えてくれるものといえます。
『灸は身を焼くことにあらず、心の奥に灯(あかり)をともすものなり』(離病道人)
人が生きていくには目標に向かって努力することが必要となります。大きな志を抱く人であればあるほど頑張らなくてはなりません。そこには、心やからだの無理があります。無理が続くと病気になりやすくなります。病気になれば、目標に到達するのが困難となります。
『昔、身延の日遠上人が、飯高の学校で教えていた頃、学生達が浴室に入るとき、衣服を脱いで背中に灸痕の無い者を見て嘆き「この学生は、学問の修行の志無き者か」と言ったという。』(幸田露伴、洗心広録)
心にも体にも多少の無理が伴う人生には、病気にならないよう日頃からお灸をすえておく必要がありそうです。
灸治歌
『一生を働きぬいた灸のあと』(森流石)
『旅立ちや 三里にすえて 足かろき』(丘草庵)
『髷(まげ)長く 腰曲がるまで生きたくば 背と足とに煙たやすな』(沢庵和尚)
『朝起きや 身を働かせ少食に 忠考あつく灸をたやさず』(細川三斉)
『灸治こそ養生中の一つなれ、四十こしては三里たやすな』(八隅景山 養生一言草)
『灸治こそ暑寒ばかりに限るまじ、いたづきあらば折々にせよ』(八隅景山 養生一言草)
『小児には ちりげ 天枢 筋かえを毎月すえて無病とぞきく』(八隅景山 養生一言草)
『虫気ある小児に灸をたえずせよ 試してみるに薬より効く』(八隅景山 養生一言草)
お灸の順序について
いくつものツボを用いて灸を行う場合の基本的目安は
- 上から下へ。 ex. 頭と足に灸をするなら、頭に先に灸をしてから足に。
- 左から右へ。 ex. 両手に灸をするなら、左手に灸をしてから右手に。
- 陽から陰へ。 ex. 背中とお腹なら、背中に灸をしてからお腹に。
お灸の回数と時間について
- 一日一回。 例外として神経痛や歯痛など一日に何度も痛みだすときは、その都度お灸します。
- 長期的、永久的に行うなら、一週間連続して行い、一週間休むをくり返します。
- 術後や病弱な人は3~5日の間隔をおきましょう。
- 時間はいつ行っても大丈夫です。自分の生活に合わせてお灸タイムをつくりましょう。
灸法の補瀉について
○補法
- 適応部:炎症のない部に適する。
とくに陥凹部や浮腫の部及び気持ちの良い圧痛部 - 艾の大きさ:半米粒大~米粒大で、艾の底面をなるべく狭くする。
底面を狭くする(立ちにくいので、1壮目は底面を少し濡らしたりする。2壮目以降は灸灰の上にすえる) - 壮数:3~7壮
*全体の取穴数が多いときは、1ヶ所の壮数は少なめにする。
*体幹部は多い目、四肢部は少なめにする。 - 手技と灸熱感覚:竹筒や指などで、艾の周囲をおさえて、比較的おだやかな熱感が深部にまでしみとおるもの。
「ジワーッ」とか「キューン」とする熱感
広がってしみる まっすぐ入っていく 経脈に沿って感覚が走る
○瀉法
- 適応部:炎症を起こしている部。(赤く、腫れて、熱がある)
- 艾の大きさ:糸状灸(もしくはゴマ粒大)
糸状灸 ゴマ状灸 - 壮数:1~2壮 *虫刺されではその部に2~3壮。
灸灰を取り除いて次灸する
*水虫等、皮膚疾患は周囲に1壮づつ - 手技と灸熱感覚:周囲をおさえないで、するどい熱感が(但し強すぎない)皮膚表面で散る感じ。